理事長基本方針

原点への回帰
~軌跡に学び未来へとつなげよう~

はじめに

設立55周年の節目を迎えた昨年度、一般社団法人神戸青年会議所は、発足の日である5月16日に記念式典と祝賀会等を滞りなく執り行うことができました。この日を迎えられたのも、幾多の厳しい試練を乗り越えて信頼を育み、今日まで組織を守り抜いてくださった先輩諸氏、そして私たちの運動にご賛同いただいた皆様方のお力添えによるものでございます。ここに改めて厚く御礼を申し上げます。
これからも脈々と輝かしい歴史を刻んでいく組織となるためには、先人たちが築き上げてこられた伝統をしっかりと継承し、明るい豊かな社会の実現をめざし行動していかなければなりません。しかしながら、昨今の日本を取り巻く経済情勢を見渡すと、回復の傾向は見られるものの、まだまだ不安定であり、政治、教育、環境とあらゆる分野において課題が蓄積されているのが現状です。神戸の街も同様に停滞の波は拭いきれておらず、今こそ、私たちが変革を促す団体として存在意義を発揮する必要があります。
混沌とした世の中を確かな時代へと切り拓くためには、やみくもに新しい事業を行えば良いのかというとそうではありません。これまでの過去をしっかりと分析し、問題解決となる糸口を見つけることが大切です。私たち神戸青年会議所は、様々な運動や提言を地域に対し発信しており、そこには現状の打開策となるものが必ずあるはずです。新たな街の魅力の発見へと導くためにも、今年度は様々な原点に立ち返り、未来へとつなげていこうではありませんか。

繁栄の軌跡に学ぶ

神戸港の歴史を紐解くと、古代より国際港として栄えており、奈良時代には大輪田泊の記述も見ることができます。その後も大規模な修築を繰り返しながら、明治維新を迎えようとする1868年1月1日(慶応3年12月7日)に近代都市として本格的な開港となり、異国の文化を取り入れながら人と物が交流し、独自の文化を発展させ現在に至っています。天然の良港と言われて久しい神戸港ですが、先人たちのたゆまぬ努力があってこそ発展し、街が形成されてきたのです。今となっては、当たり前となっている開放的で明るい神戸人気質ですが、そこに到達するまでには、様々な工夫と歴史の伝承があるのではないでしょうか。私たちは、この財産を後世にわたり守り抜かなければなりません。そのためにも、発展の源である「港・海」に感謝を捧げ、これからのますますの繁栄を祈願するまつりとして、今年度も「Kobe Love Port・みなとまつり」を開催いたします。これまでに12回開催されてきましたが、市民が参加するまつりから、参画するまつりへと変革を遂げる中で、新たな展開を期するためには、どのようなアクションを起こしていけばいいでしょうか。みなとまつりと言えば「神戸」と思ってもらえるような仕掛けを考えなくてはなりません。私たちが渦の中心となり、神戸から日本中へと認知度が高まるよう努め、神戸港開港150周年まで残すこと4年となったことも視野に入れて行動していきましょう。

防災の軌跡に学ぶ

先の東日本大震災により、日本の経済は大きな打撃を受け、人々の心にも大きな傷が残されることとなりました。引き続き復興の支援を行う必要はありますが、それと同時に、これからも起こりうる災害に対して、私たち神戸青年会議所はどのような対策を講じればよいかも視野に入れなければなりません。「備えあれば憂いなし」と言いますが、地域に根ざした団体として、何かできることがあるのではないでしょうか。
それは、阪神・淡路大震災を経験してきた街として市民に対して防災意識の向上を促す機会を設け、安心・安全なまちづくりの構築に寄与していくことだと考えます。たとえば六甲山系ですが、明治のころは度重なる乱伐により裸地化し、土砂災害の起因となる地帯であったそうです。「これでは街を守れず後世に残せない」と治山に対する意識が芽生え、緑化事業をおこなった結果、現在の美しく緑に覆われている山へと蘇りました。昭和以降の大水害や震災後の傷跡にも、この守る意識が引き継がれ対処しています。
先人たちは、被災のたびに工夫を凝らして街の安全を形成してきた歴史があります。私たちも、街の安全形成にソフトの面で啓発できることがあるはずです。震災当時の記憶が薄れかけている今だからこそ、過去の経験を踏まえ、私たちにしかできない街の安全を創りあげていきましょう。

人財育成の軌跡に学ぶ

子どもは、未来の希望であり、健全な育成を図らなければなりません。その責務は学校だけではなく、親世代である私たちを含む地域社会全体にあります。では、地域の宝である将来を担う子どもたちに、何を伝えていかなければならないでしょうか。それは、「郷土を愛する心」だと考えます。昔は、伝統や文化に関連した行事や活動に参加することで地域の大人たちと触れ合う機会が多くありました。子どもたちは、そこで誇れる街の歴史に親しみを感じるとともに、様々な交流や体験から街への愛着が生まれ、地域社会の一員を自覚する契機となったものです。
このように、子どもにとって自己を形成していく上でかけがえのないものが郷土であり、生涯にわたり心の支えとなっていくのです。自分の生まれた地域を知り、多くの人と関わりを持って積極的に活動をしていく「人財」を育成することで、街の活性化につながり、私たちの理念である「明るい豊かな社会」の実現に近づくはずです。
都市化が進み地域の色合いが薄れてきている今こそ、生まれ育った故郷に愛着を持ち、誇りを持って後世に伝えていく環境を整えていく必要があるのではないでしょうか。神戸には、誇れる伝統と文化があります。国際性豊かな環境もあります。その恵まれた特性を活かし、感性に響く青少年育成事業を行うことに全力を尽くします。
会員の拡大も、組織を育てていく上で、非常に重要な活動と位置付けています。新たな仲間たちが増えることにより、神戸青年会議所の運動が街の隅々にまで伝播するようになり、より認知され、また新たな仲間が増えていくという相乗効果につながります。街の規模を考えると、まだまだ潜在している「人財」はたくさんいるはずです。様々な価値観を持つ多くの人たちが集うことで、組織も活性化され、会員個々の資質向上となり、より洗練された経済団体として次世代へと歩みを進めていくことができます。
組織の最盛期には、400名を超える会員が所属していました。当時の会員拡大に対する情熱は、ひとかたならぬものがあったことでしょう。これまでの過去における手法を再検証し、神戸青年会議所全体で新たな会員の計画的拡大へとつなげていきましょう。

組織の軌跡に学ぶ

青年会議所は、あらゆる場面で人と接する機会に恵まれています。私たちが掲げる理念
の中枢をもつ国際青年会議所は、世界とのつながりを有しており、グローバルな感覚を肌で体感することで自身の視野を広めるきっかけの場となってきました。また、国内各所の各会員会議所に所属する同志との出会いは、つねにお互いが刺激しあえる環境を構築し、同じ理念のもと、活動することで多くの友情を育み強い絆が生まれます。地域とのつながりにおいても、私たちの活動を支援してくださる行政・地元企業・各種団体等と、事業を遂行していく上で語り合う場がたくさんあり、新たな価値観との出会いが期待できるでしょう。このように交流の機会は、自身にとって成長の潤滑油となります。一人ひとりが様々な経験をし、「明るい豊かな社会」を築くという共通の目的意識を持ち結束することで、組織は一段と強固なものとなっていき、より存在感は増していくはずです。交流やつながりこそが活動の原点であり、長きにわたり神戸青年会議所が成長を遂げてきた原動力の一つといっても過言ではありません。そして、この土壌を育んでくださった先輩諸氏に敬意を表し、機会の重要性をしっかりと認識した上で、交流の場へと積極的に踏み出していきましょう。
また、どんなによい運動を起こしていても、市民へとつながる発信力がなければ意味がありません。いかに私たちの活動を、市民のニーズにあった情報として届けられるかを改めて考える必要があります。情報化社会の高度化が一段と進み、インターネットはもとより SNS など新たな発信ツールも多数存在しています。これまでの広報活動を振り返り、有機的な手法を模索し的確な所に的確なタイミングでスピーディーに私たちの運動を届けられるように戦略を練り発信していきましょう。

さいごに

「故きを温ねて新しきを知る、以って師と為すべし。」という中国の「論語」の言葉があります。これは、私が新たなことにチャレンジするときにいつも心掛けている言葉です。先に述べた通り、神戸青年会議所は、連綿と続く歴史を刻み、常に時代に必要とされてきた組織として地域に多くの活動を率先しておこない成果を上げてきました。だからこそ、その軌跡の中には、未来を動かす数々の可能性を秘めているはずです。
これからも「修練」・「奉仕」・「友情」の三信条のもと、地域の期待に応えられる団体として力強く歩むためにも、今一度先人たちの活動を振り返り、新たなる見識を深め、仲間と共により良い明日への懸け橋となれるよう、共に汗を流しましょう。
輝く未来へとつなげるために。