理事長基本方針

次代の神戸ビジョンを描こう
~私たち責任世代が今できること~
理事長 吉森 直紀

はじめに

 一般社団法人神戸青年会議所は半世紀以上もの間、神戸を輝く地域へと昇華させるためにメンバー自らが率先し、数多くの運動を展開してきました。これらの運動が受け継がれてきた背景として、創始の想いを伝承しつつ時代に即した運動を推し進め、メンバー自らが理想の姿を描き、自己研鑽を積み重ねてきたことが挙げられます。その背景を想うと、長い歴史が詰まった「バトン」を次代へとつないでこられた先輩諸氏を尊敬してやみません。この「バトン」を私たちメンバーは、未来へと確実に伝承していく必要があります。そのためには、まず神戸JCメンバーが「当事者意識」を高くもち、地域を牽引するリーダーであるという自覚と誇りを胸に、多くの神戸市民とともに次代の神戸ビジョンをしっかりと描かなければなりません。
 その昔、神戸のまちは貿易で栄え、重厚長大産業の繁栄により、長らく世界有数の貿易港として目覚ましい発展を遂げてきました。そのまちも今や、経済の長期低迷や阪神・淡路大震災などの打撃により、かつての賑わいを失いかけているように感じます。この現状を果たしてどれくらいの神戸市民、神戸JCメンバーが自らの住む地域の問題と捉えているのでしょうか。私たちがこのまちの抱える様々な課題を自らの問題と捉え、神戸の未来を見据え「当事者意識」をもって行動することが、次代への懸け橋となり、明るい豊かな社会の実現へとつながるのです。
 私たち責任世代に何ができるかを一年間しっかりと見つめ、このまちがさらなる飛躍を遂げるためにも、次代の神戸ビジョンをともに描いていこうではありませんか。

まちのビジョンを描く

 神戸は1868年の開港以来、異国文化を積極的に受け入れ、国際的な都市として大きく発展してきました。また神戸特有の海と山に囲まれた地形や情緒豊かな景観は、個性的かつ魅力的です。世界中を見渡しても、このような素晴らしい環境が整っているまちは数多くありません。一人でも多くの人にこの魅力溢れる素晴らしさを感じてもらうべく、港と海に感謝を捧げるまつりとして今年度も「Kobe Love Port・みなとまつり」を開催いたします。今年度で14回目の開催となる「みなとまつり」は、回を重ねるたびに来場者数も増え、今では市民に愛されるまつりの一つとなりました。さらなる飛躍を遂げるために、来場者一人ひとりが満足し、笑顔あふれる理想のまつりへと進化させていく必要があります。市民や関係諸団体とともにしっかりとビジョンを描き「みなとまつりに行けば神戸の魅力がわかる」と来場者に感じてもらえるまつりをめざします。
 また、今年度は阪神・淡路大震災が発生してから20年という節目の年となります。あの大震災により6000人を超える尊い命が失われ、日本全国が悲しみに包まれました。私たちはあの大災害を昨日の出来事のように記憶しており、忘れることはありません。現代の子どもたちは、災害の恐ろしさや家族、友人を失う悲しみについて、実際の災害を経験していないため、それらが実感としてわかないかもしれません。20年の歳月が経過した今、全国各地で頻繁に発生している異常気象の影響もあり、防災意識は高まりつつあるといえますが、私たち責任世代としても自らの問題として捉えることができているでしょうか。節目の年だからこそ、改めて市民の皆様とともに災害の恐ろしさ、防災・減災の考え方について見つめ直し、次代を担う子どもたちにしっかりと伝承していく責務があります。神戸JCは、前年度も防災・減災について人々の意識を高める活動を進めてきました。それらをしっかりと受け継ぎ、神戸に住む人々の防災意識をさらに高めるためにも、防災・減災に対する新たなビジョンを示していきます。

人財育成のビジョンを描く

 人が成長するためには、多くの経験が必要です。自らの限界を定めず、新たな事柄にチャレンジすることで大きな成長が得られます。JCには様々な活動を通して、自らが成長できるチャンスやヒントを掴める環境が整っています。この機会を活かすには、まずは自らが率先して行動しなければなりません。
 青年経済人には物事を成功に導くために幅広い知識、見識や多様な能力が求められます。その中でも、「相乗的コミュニケーション能力」が私の考える最も必要な要素であると確信しています。仲間とのJC活動を通じて自己研鑽を積み、それらが生み出す相乗効果によって、神戸を牽引する魅力ある人財の育成をめざします。
 昨今、少子高齢化やゆとり教育の影響などに伴い、子どもたちを取り巻く環境は以前と比べて大きく様変わりしたように感じます。いつの時代も私たち親世代が、次代を担う子どもたちの道標となり、健全な成長へと導いていかなければなりません。私は人が成長する過程において、重要な要素の一つに「成功体験」があるのではないかと考えております。目標に向けて計画し、成功へのプロセスを着実に進めていくことも当然重要ですが、達成した時の喜びは何事にも代え難いものであり、次の目標へ向けた大きな原動力となるのです。神戸の未来を子どもたちに託すために、「成功体験」によって生まれる成長を、自ら掴み取っていただく青少年事業を展開していきます。

組織のビジョンを描く

 世の中には多くの組織が存在しますが、理想の組織とは一体どういったものなのでしょうか。私が考える理想の組織とは、高い志をもち、同じ理念の下で歩みを合わせて目標を達成することが可能な組織であると考えております。JCでは、事業を通じてメンバー間で試行錯誤し、目標達成までのプロセスをともに歩みます。そのような多くの経験から組織力を学ぶことができます。さらには、成功や失敗の経験を共有することで相互理解がより一層深まり、組織力の向上へつながると確信しております。
 メンバー間の交流はJC活動の原点ともいえます。日本JCや国内外の友好姉妹JCとのネットワークは組織としての大きな強みの一つです。組織が多種多様な職種や立場のメンバーで構成されているので、様々な視点でコミュニケーションを図ることができます。それらの交流を通して、価値観の共有や自らを客観視することができ、自身を高めることができるのです。JCだからこそできる交流、出会いを大切にしながら、揺るぎない組織の構築へとつなげていきます。
 また、組織の維持発展のためにも会員の拡大は、私たちメンバーに与えられた重要な責務です。志高き新しい同志とともに、未来へ向けて理想の組織を構築していく必要があります。そのためにもメンバー一人ひとりの会員拡大の意識を高めると同時に、神戸JCの魅力を最大限に伝える工夫をしなければなりません。共感し合える仲間と一緒に組織のビジョンを描き続けることこそが、組織を理想の姿へ昇華させると確信しております。

広報戦略のビジョンを描く

 JCは全国で700箇所近く存在しており、メンバー数は3万人を超えます。全てのJCは、明るく豊かな社会の実現をめざして日々運動を展開しております。多くの市民の皆様にも私たちの運動に理解と共感をしていただき、輝く地域をともに創造していく必要があります。しかしながら、市民に対してこれらの運動を、効果的に伝えることができているのでしょうか。明るい豊かな社会の実現には、私たちの運動を効果的に発信することが重要です。そのためには、私たちの活動がどのように市民へ伝わっているのかを調査、分析する必要があります。その結果を踏まえた上で、どのような広報活動が最も効果的なのかを研究し、最適な手法を確立して推進することが、地域におけるJCの存在価値を高めるのです。私たちは、愛してやまない神戸とそこに暮らす人々のために、全力で運動を展開しております。この運動を一人でも多くの市民に伝え、共感いただき、さらには市民に支持される団体をめざすことこそが、真の明るい豊かな社会の実現へつながると確信しております。市民とともにこのまちの未来を創造するために、戦略的広報のビジョンを確立していきます。

むすびに

 私の座右の銘は「一人の百歩よりも百人の一歩」です。これは一人が百の役割をこなすのではなく、たとえ百人が少しずつでも責任感をもって全体で着実に前進するという意味です。理想の組織を追い求めるなら、全員で前進することが不可欠です。一人ひとりが自覚と誇りをもち、神戸JCの一員として、同志とともに運動を推し進めることへの喜びを感じる組織をめざします。

 次代の神戸JCに向けて先輩諸氏より受け取った「バトン」

 この「バトン」を次代へと着実につなげていくためにも、私たち責任世代が今できることを同志とともにしっかりと議論を交わし、答えを探していきたい。地域社会にとって必要な団体であり続けるために。真の変革をめざすために。

 最後に全てのご縁に感謝し、無限の可能性を信じて、神戸のため、神戸市民、そして神戸JCのために、同志とともに強い覚悟と気概をもって。