理事長基本方針

挑戦と継承
~地域に必要とされる組織であり続けるために~
理事長 德田 周士

はじめに

今の時代を担う青年経済人として生きる我々に必要なこととは、何でしょうか。それは、何事からも逃げだすことなく「挑戦すること」ではないでしょうか。そして、人としてこの世に生を受けてからの生き方を振り返りつつ、将来に向けての歩みを考えること、各々が誠実に現実と向き合い、強固な信念を持った自分へと成長することではないでしょうか。

「世のため人のために生きる」という言葉が陳腐に聞こえる時代だからこそ、しっかりと己の座標軸を定める。地に足のついたJAYCEEとして、先人たちの想いを胸に新たな挑戦を恐れず、組織を次代に継承する。それが、地域から最も必要とされる神戸青年会議所の姿であります。

一人の青年経済人としての想い

私は兵庫県明石市で生まれ、父母の大きな愛に包まれながら、少年期は自然豊かな神戸市西区の、恵まれた地域環境のなかで何不自由なく育ちました。高校時代には阪神・淡路大震災を経験し、見慣れたまちの惨劇を目の当たりにして、当たり前の生活が奪われる怖さや自然の脅威、人間はひとりでは何もできないという儚さを学びました。

そして神戸が震災復興に向け歩み始めるなか、全てに責任が伴う社会人となった私は、2003年に神戸JCに入会しました。以来13年間「明るい豊かな社会の実現」を胸に、青臭いながらも臆せず怯まず、時として若さと未熟さゆえの思い上がった言動をたしなめられながらも、JAYCEEとして運動に尽力してまいりました。同時に、経営者としても、大人としても、父親としても精一杯生きてきました。

だからこそ今一度、神戸のまちのこと、そこに住まう人びとや子どもたちの未来、そして、神戸JCで私ができることは何なのか、考えていきます。

神戸のまちを想う

日本は戦後、先人の弛まぬ努力と限界のない向上心により先進国となるまでの成長を遂げ、我々はその恩恵を受けて育つことができました。しかし、近年では、人口減少・超高齢化・東京一極集中などの問題が、我が国を苦しめています。国は「地方創生」を掲げ、各地域のそれぞれの特徴を活かした「自律的かつ持続的な社会の創生」を提唱しています。神戸のまちも例外ではなく、これからの新たな時代を生き抜くため、行政並びに各種団体、そして神戸市民と手を取り合い、これからの課題や今までの問題に真剣に向かい合わなければならないのです。神戸に住まう市民一人ひとりが現況をしっかりと把握し、危機感を持つことが必要です。

神戸JCには、57年もの歴史において先輩諸氏が残された数々の軌跡があります。また、神戸を担う各種団体や企業には、神戸JCを卒業された先輩方が数多く在籍され、重職を担っておられます。このようにJCスピリッツが様々な所で活躍している現状をふまえ、行政、各種団体、神戸市民の三者ともに関わりを持つ数少ない団体である我々が、地域コミュニティの必要性をもう一度考えなければなりません。そして地域から始まるコミ ュニティの可能性を模索しながら、市民一人ひとりの「コミュニティの一員である」という意識を高める手助けを、積極的におこなうことが求められているのではないでしょうか。

阪神・淡路大震災から20年の時が経ち、震災を経験していない市民が4割以上となりました。自助、共助、公助の必要性を知らない人々が多いのも事実です。災害は起きてから考えるのでは遅く、起こりうることを想定し、備えなければなりません。我々は継続事業として、防災・減災事業「そなえるって、い~な!」を推進し、昨年も子どもたちに災害時に生き残る術を学んでもらいました。そして本年も、備えることの大切さや、阪神・淡路大震災の経験を次代に継承するために運動します。

2002年から時代とともに進化してきた神戸JC主催の継続事業「Kobe Love Port・みなとまつり」を、本年も開催いたします。来場者数も年々増加し、神戸の夏の風物詩になろうとしています。15回目の開催となる本年も、創設の想いを受け継ぎ、我々が主催者であるという意識をしっかり持ち、思いやり溢れる設営を心がけ、神戸JCの存在を全面に出していきつつ、神戸活性化の一助となることをめざします。

海と港に感謝し、参加するみんなが笑顔あふれる、元気いっぱいなまつりを通して、明るい神戸を共につくっていきましょう。

神戸の子どもを想う

世界を見渡せば、日本は安全で治安のいい国に分類されます。しかし、その実情を覗いてみると、モラルの崩壊した大人の行動や、子どもを狙った犯罪、さらには子どもが犠牲になる事故が多発しています。子どもが元気に遊べる場所や機会が減少しているだけではなく、何より、安心して子どもを育てられる環境が崩れかけているように感じます。このような環境をつくっているのは、誰でしょうか。それはまぎれもなく大人世代です。大人たちの都合に合わせたルールが、子どもたちの健全な成長を阻害してはいないでしょうか。

青少年育成は、我が子への深い愛情と、命がけで守り抜くという強い信念、すなわち「家族愛」から始まります。そして、その「家族愛」を郷土で育むことができるのが、理想です。地域に伝わる伝統や文化、地域に根付いた教育、そんな郷土愛ゆたかなコミュニティに属することで、子どもたちは生きる喜びを享受しながら育まれていくのではないでしょうか。我々にできることは、理想の環境とはどういうものか再認識し、その必要性を子どもたちと共有し、実現に向けて努力することです。

子どもにとって家族とは、人生で初めて属するコミュニティです。子をもつ大人世代である我々は、「我が子に対し説得力のある親であるか。我が子にどんなメッセージを送れているのか。自分の背中を我が子に誇れるだろうか。日々の忙しさに逃げずに、真剣に子どもと向き合えているのか。」と自問自答し、今一度「青少年育成とは何か」を考えるき っかけが必要です。

組織を想う

神戸JCは創設から57年にわたり、「修練・奉仕・友情」の三信条を掲げ、まちの発展を願い、様々な運動を展開してきました。

JCは単年度制であり、1年ごとに役員が入れ替わり、組織も変わる団体です。そのことで常に新たな風が吹き込み、時代に沿った運動や組織の活性が生まれ、メンバー自身も毎年異なる経験を得られることで、スキルアップや新たな出会いに恵まれるなど、たくさんのメリットがあります。しかし一方で、事業をおこなうにあたり、毎年ゼロからのスタ ートとなるがゆえに、事業構築までに多くの時間と労力を使わざるをえないのが現状です。また、1年という短い期間ではできることが限られ、協力をいただく企業や他団体、行政との連携や、おこなった事業の検証が難しいなど、デメリットも存在します。そのようななか、組織の単年度制を活かしながらも、時代に即した運動の継承を視野に入れ、継続する意味を考えます。

今、神戸JCには「防災・減災」「みなとまつり」「青少年育成」の3つの事業軸ができあがりつつあります。これらを継承し、継続することで、より確かな地域貢献へとつなげます。また一方で、中長期の計画を立てながら新たな挑戦を続けることで、より強固な組織が構築されます。

未来を見据えるうえで、会員拡大と広報は重要な職務のひとつです。神戸JCの実績は枚挙しきれませんが、神戸市内においてその知名度はまだまだ十分に浸透しているとはいえません。今以上に神戸JCの認知度を高め、その存在意義を伝えることで、より高い「神戸JCブランド」の構築をめざします。ブランド化されることで、我々の運動に対して興味・賛同が得られることとなり、これまで以上にスケールの大きな挑戦への機会につながります。また、ここに属するおよそ200名のメンバーの成長や評価にもつながり、その結果、同じ志を持った新しい仲間が「共に運動をしたい」と集い、さらなる強固な組織へと進化していくこととなります。神戸JCの進化は、神戸のまちや人々のためだけでなく、神戸JCで運動しているメンバー一人ひとりのやる気や誇りを高めることとなります。

メンバーを想う

神戸JCでは、社業だけでは学べない、組織のつくり方や事業をおこなうための会議のあり方などを、学べる機会が多くあります。少し背伸びをしながら会に参加し、悩み苦しみながらも運動することにより、何事にも代えられない自分自身の糧となり、苦楽を共にしたメンバーとの間に真の友情が芽生えます。

私はこれまで13年間のJC運動のなかで、いろいろな立場で、様々な役職を経験させていただきました。そこには多くの出会いと刺激があり、時には自分の未熟さに気づき、また苦手な分野を経験したことで、やり遂げる達成感と自信を積み重ねることができました。神戸JCに入っていなければ、今の私はどうなっていたのか、それは想像すらできません。このようにJCは経験すればするほど、多くの学びがあります。

しかし近年では、メンバーの平均所属年数が短くなる傾向があり、同じ志を持った仲間でありながらも、本来神戸JCで得られるはずのたくさんの糧を得られぬままに卒業するメンバーが多く存在しているのです。

そのような現状を鑑み、「時代に沿った組織」とは何かを、今一度見つめ直す必要があります。所属年数や経験が浅くても活躍できる機会を今まで以上に設け、多くのメンバーや他LOM(青年会議所)、神戸JC先輩諸氏との交流や、様々な体験の場に参加できる環境を考えます。また、神戸JCのみならず、JCIや日本JC、近畿地区協議会、兵庫ブロック協議会に出向を促し、それにより自身のあらゆる可能性を見出し、成長を図ることができるようにすることで、LOMへの効果だけではなく、まちを考え、社業に活かす一助とします。

また、今後も継続できる組織とはどんなかたちなのかを考え、組織の軸としてそれを成し得ることができれば、私自身が多くの宝物を受け取ることができたように、メンバー一人ひとりにおいても「神戸JCの一員で良かった」と、より誇りを感じられるようになるのではないでしょうか。

神戸JCは各分野のスペシャリストが集う、他に少ない素晴らしい組織です。青年経済人としてのモラルを胸に、威張らず、飾らず、元気なJAYCEEの姿をここに実現し、そして次代に継承していく。そんな組織を共に創っていきましょう。

神戸JAYCEEの一人ひとりが本気になれば、神戸はきっと最高なまちになる。私自身、メンバーのプライドとなれるよう、気概と覚悟を持って、メンバーに背中をみせていきます。

より地域に必要とされる組織であり続けるために。