理事長基本方針


一般社団法人 神戸青年会議所
第59代理事長
南 嘉邦

はじめに

 日本の青年会議所(JC)の運動は、戦後混乱期から復興しつつある最中に生まれまし た。その後訪れた高度経済成長期には、目まぐるしく社会・経済情勢が変化し地域を牽引 していくリーダーの育成が急務になったことと相まって、続々と日本各地でJCが設立さ れました。既に様々な経済団体が存在していた神戸の地では、1958年7月、51人の メンバーによって神戸青年会議所が143番目のLOMとして誕生しました。以来、先輩 諸氏は神戸において数えきれない偉業を成し遂げられ、その組織は我々に受け継がれてい ます。
 現在の社会環境はJCの創設期とは異なり、長期間続く経済の停滞、少子高齢化など地 域が抱える問題があります。東京一極集中という経済構造に限界があるのも事実であり、 地域独自の魅力を最大限に活かした経済成長を促すよう「地域創生」が叫ばれています。 その第一歩として、都心部への人口流出を止め、地域経済の担い手を増やし根付かせる必 要があることは誰でも思いつくでしょう。しかし、それを実現するためには、神戸という 地域に人を惹きつける魅力がなくてはなりません。今まさに神戸のさらなる魅力を開拓し、 新たな神戸へと変えてゆける人材が必要です。
 私は、地域発展の牽引役となるリーダーを育成するJCが、今こそ求められているのだ と確信しています。理想の実現のために「修練」を積み、利他の心で社会へ「奉仕」し、 その中で培われる「友情」を備えた人間(JAYCEE)であることを意識し、地域発展 に貢献していきましょう。素晴らしい人材を育成できる機会を持つJCこそ、次代へ引き 継がなくてはならないのです。

組織への想い

 JCの魅力は、時代や地域社会が直面する課題に対し、メンバーが英知を結集して解決 方法を模索し、実行できることです。さらに、組織は単年度制であるため1年で結果を出 さなくてはなりません。すなわち、失敗を恐れず迅速かつ果敢に行動することが求められ ているのです。1年で役職は変わりますが、職務や事業に込められた情熱が変わることは ありません。JCが不連続の連続といわれる所以です。
 この連続したJC運動により、地域社会を身近に感じ、メンバーには情熱が身に付きま す。メンバー一人ひとりが身に付ける社会や家庭、仕事に対する考え方や姿勢、これこそ がJC運動で得られる価値観です。私は、このJCという風土で培われる価値観こそがJCブランドなのだと考えます。JCブランドはメンバー一人ひとりの生活が基礎となって構築されていくもので、人との付き合いを通じて、対外的に発信されているのです。ですから、我々は常に真の青年経済人としての自覚をし、神戸JCのメンバーとしての責任があることを意識しなくてはなりません。
 対外事業では、地域社会のニーズを汲み、より地域に貢献し続けられるものを創り上げることで、参加者に感動や気づきを生み出す責任が我々にはあります。同時に、対外事業を広報ツールとして的確に活用し、我々の活動を広く市民に発信します。そして、先輩諸氏がおこなってきた数々の挑戦の歴史と、必死に守り続けてきた伝統に恥じることのない組織を継承していくためにも、未来を見据えた運動を展開します。

まちを描く

 神戸は、緑豊かな六甲山系と穏やかな瀬戸内海に囲まれた、大都市としては稀な自然環境に恵まれたまちです。神戸港は、天然の良港として古くは奈良・平安時代から他の地域との交通の要所として栄え、神戸のまちを語る上では、必要不可欠です。特に1868年の開港時、近畿圏で唯一の海外との貿易港だったこともあり、神戸港の発展とともに神戸のまちは国際貿易都市として近代化を進め、開放的で独創的な文化を形成し発展しました。
 「海・港」に感謝を捧げるまつりとして、神戸JCが主として開催している「Kobe LovePort・みなとまつり」も16回目を迎えます。本年は、神戸港開港から150年目の記念すべき年です。これまで以上に行政・各種団体・企業と連携を取り、夏の風物詩として定着したこのまつりの集大成となるものを開催し、来場者の方に「海・港」が一段と近く感じられる魅力溢れるまつりを実現します。
 神戸のまちの人口は、1995年に142万人まで減少したものの、2016年には153万人を超えるほどに回復しました。ところが、今後このまちの人口は減少するとのデータが出ています。我々が人口減少という問題そのものにどう立ち向かうかということもさることながら、人口減少という現実を踏まえた新しい価値観をどのように生み出していくのかが重要です。
 我々以外にも行政をはじめ、多くの企業や団体がこの新しい価値観を生み出すことに挑戦しています。この問題は、一朝一夕に解決できるものではなく、息の長い活動が必要になるかもしれません。しかし、単年度制で運営している我々だからこそ、即応性に富んだ新しい視点で提案できることがあるはずです。地域に根差す多くの関係者と連携して新しい価値観を模索しながら、新しい時代にも必要とされる神戸JCならではの提案をし、率先して行動することによって、まちの発展に助力します。

未来を託す

 1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、このまちの姿を変え、我が国の災害への考え方を大きく変えました。災害はいつどこで起きるかを予知することが難しく、毎年のように日本各地で猛威を振るっています。災害対策においては自助・共助・公助の役割分担を理解することが大切であり、とりわけ、共助=地域コミュニティの連携によって災害に備えることの重要性が唱えられています。しかし、近年では、核家族化が進んでいることもあり、自治会・町内会の高齢化やつながりの希薄化が問題になっています。私は、コミュニティの重要性を理解する上でも、その最小単位である家族との絆が大切であると考えています。
 便利な暮らしに慣れ、自分の力だけで生きているつもりでも、自然の脅威の前では人はあまりにも無力です。まずは当たり前に傍に居る家族を今一度大切に思い、そこから広げていって、親戚や友人、地域の人々への配慮や関心を持つようにして下さい。私たちが家族を思い、他者を思いやることで、その姿を見た子どもは、より豊かな友情や愛情を身に付けることができ、将来、家庭を持ち新たな絆が生まれるはずです。ですから、いまある家族の絆を強くすることは、子どもの成長に必ず役に立つと考えます。そして、家族の絆が強い家庭で育った子どもが、将来このまちの発展に尽力してくれるはずです。そのために、私たちは昨年に引き続き、郷土で家族の絆が育まれる事業を行い、そのような環境が地域に根付く運動を展開します。

絆を深める

 優れたリーダーの資質とは何でしょうか。私が思う最低限の条件は、「愛される人」であることです。もちろん、多くの人を束ねることのできるリーダーシップや共感できる大きな夢、秀でた戦略も必要でしょうが、人に愛されない人に、長期間持続できる成功は訪れないと考えます。また不思議と、魅力のある人の周りには優秀な人が集まるものです。人はいつ成長するのでしょうか。私は、人と出会い交わることで、人生におけるやりがいや生きがいといえるような夢を持ち、憧れの人に認めてほしい、追いつきたいと自覚したときだと思っています。「愛される人」への成長過程には、積極的に様々な場へと出かけ、色々な人とコミュニケーションを取り、出会いを大切にすることが必要不可欠だと思います。
 古来、日本人は、人との出会いを大切にしてきた民族です。一期一会という言葉は、茶道に由来しており、たとえしばしば会う仲でも、もしかしたら二度と会えないかもしれないという覚悟でお互い誠意をもって尽くす、そのような心構えを示します。現代では、電話やSNSといった便利なコミュニケーションツールが多種多様にあります。しかし、今こそ簡便なツールに頼りすぎることなく、誠意をもって人と相対する機会を大切にし、そこで絆を深めるべきです。JCには、日本JCをはじめ近畿地区協議会、兵庫ブロック協議会等多くの会議体があります。多くのメンバーに出向の意義を伝え、その機会を設けるとともに、神戸JC先輩諸氏との交流を重ね、個人の成長に繋げます。また、事業に協力していただける行政・各種団体・企業そして国内外の地域のために奮闘しているメンバーとの交流を通じて育まれる絆は、一生の宝となるはずです。脈々と受け継がれた交流があることに感謝し、人と人との結びつきをより強固なものとし、組織同士の絆をいっそう盤石なものとして次代へ引き継ぎます。

さいごに

 来年、我々の組織は設立60周年を迎えます。これからも神戸で輝き続けるためには、今まで以上に行政や他の関係諸団体の方と目線を合わせて活動していく必要があると感じています。メンバー一人ひとりが様々な問題に真摯に向き合い、自分の資質が磨かれる活動をしましょう。まず自分が変わらなければ、周りの環境や社会は変わりません。
 我々は未熟ですが、一人ではありません。この組織のメンバーや多くの先輩諸氏、そして地域は異なりますが、世界中に同じ目標を実現するために奮闘している同志がいます。背伸びをして一緒に高みを目指しましょう。運動をともにするメンバーが、心から入会して良かったと思える組織であり続けるために、5年後10年後の組織を背負うメンバーに何が残せるかを一緒に追求しましょう。私は、入会してから多くの先輩方に出会い、お世話になりました。その全ての恩に報いるために私の全身全霊を捧げ、メンバーの模範となるよう努めます。そして、神戸JCのメンバーとしての誇りを胸に抱き、神戸のまちが最高のまちになるよう行動します。
 より明るい豊かな未来のために。

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