- President -理事長基本方針

克己転輪
~ 変革の刻 ~

一般社団法人 神戸青年会議所
第61代理事長

甲斐 健盛

はじめに

 一般社団法人神戸青年会議所は昨年、60周年という大きな節目を迎えました。60歳は人間でいうと還暦の年になります。還暦とは、10干12支が一巡して誕生年の干支に戻る年であり、生まれ変わる年であると言われています。この記念すべき年に、関係する皆さまのご協力のもと、記念式典、祝賀会、記念事業を華々しく開催することができ、改めて感謝申し上げます。
 本年は神戸JCにとって還暦祝いを終えて、新しい暦を刻み始める1年となります。そして、およそ30年続いた平成が終わりを迎える年でもあります。新しい元号が始まる日本はどのような状況でしょうか。少子高齢化により確実に人口は減少し、世界から見た日本の経済規模は、相対的に小さくなってきています。そして、人々の幸福度は低く、子どもが夢を持ちにくい社会になっています。また、気候変動のためか、毎年のように日本中で台風が猛威を振るい、集中豪雨によって河川が氾濫し、水害が多発しています。地震、噴火といった災害も忘れたころに起きています。
 これらの課題を一気に解決することのできる策はおそらくないでしょう。しかしながら、私たちは明るい豊かな社会を作り上げるために、青年らしい創造的な運動を展開していかねばなりません。愚直に一歩一歩でも前を向いて進むしかないのです。いつの世も青年が社会を変えてきました。より良き社会へと変革していくために私たちは前に進み続けます。

まちの未来を前進させる

 まちの未来を担う子どもたちは今、どのような環境で育っているでしょうか。小さなころは「~になりたい」と夢を語っていた子どもたちも、中高生になると、いつしか将来の夢を持ちづらくなり、夢を語らなくなってしまう傾向にあります。世界に比べても日本の子どもはその比率が高いと、内閣府の調査でも結果が出ています。
 神戸のまちは港町として、海外から数々のスポーツ文化を取り入れ、その伝播に大きな役割を果たしてきました。そして、本年はラグビーワールドカップが日本で開催され、神戸も開催地として大きな役割を担います。この機会に、子どもたちがラグビーの世界に触れる事業を展開します。ラグビーでは、激しく肉体がぶつかり合うスポーツだからこそ、相手チームへの敬意、友情、チームワーク、自己犠牲が必要とされます。
 その精神を学び、実践することによって、子どもたちの豊かな心を育みます。また、夢を持ち、諦めずに挑戦し続けてきた人に触れることで、夢を持ち続けることの意味を改めて考えてもらう機会とします。まちの発展には、子どもたちが豊かな心とともに、夢を持ち、前を向いて進んでいくことが必要不可欠です。本年も私たちは青少年育成事業をおこない、子どもたちが明るく豊かに成長するための場を提供します。
 神戸の人口減少の一因に、若者が就職時には市外へと転出してしまうことがあげられます。若者と神戸のまちとの繋がりをより強くすることができれば、若者の神戸への想いを良い方向へ変えることができると考えます。ラグビーワールドカップというこの大きな機会に若者と協働して事業をおこなうことで、神戸のまちとの繋がりを強めてもらい、神戸のまちの素晴らしさに気付いていただきます。
 子どもが豊かな心と夢を持ち、若者に愛されるまちを目指して、私たちは行動を起こし、まちの未来を前進させます。

出会いの輪を広げる

 JCI恒久的プログラムのひとつに、国際性の機会があります。世界会議やASPACといった国際会議、海外姉妹・友好JCとの交流といった機会によって国外にも幅広いネ ットワークを築くことができます。そして、異なる歴史や文化、価値観に触れながら、相互理解を深め、切磋琢磨し合える新たな繋がりを追求します。
 日本国内においても、出会いの機会は豊富です。全国大会富山大会をはじめとした各種大会に参加することで、各地域の活動や雰囲気を体感し、見識を広め、各地の会員と交流することができます。また、国内友好JCとはすでに積み重ねてきた交流の歴史があり、その絆をさらに深め、良いところは積極的に取り入れ、お互いに高め合います。
 また、青年会議所には出向という新たな出会いの機会があります。JCI、日本青年会議所、近畿地区協議会、兵庫ブロック協議会への出向は、他地域のメンバーと出会う最高の機会です。活動する場所は違えども同じ志を持った仲間と出会い交流し、ともに汗をかくことで生涯変わることのない友情を築くことができます。その機会を最大限に生かすために、本年度はより積極的に、より広いフィールドへとメンバーを送り出します。
 異なる地域から集うメンバーと切磋琢磨し、ともに困難を乗り越えることで広い視野と強い心をもつ人材へと成長することを期待します。その一人ひとりの良き変化が神戸JCの成長に繋がります。私たちも出向者と同じ志を持って最大限の支援をし、連携を取り合い、出向メンバーの新たな第一歩を応援します。

港への想いを高める

 神戸のまちの発展の礎となった海と港に感謝を捧げようと開催してきた「Kobe Love Port・みなとまつり」は昨年、第17回を盛況のうちに終えることができました。夏の風物詩として定着したこのまつりを、人々が改めて海と港に想いを馳せる場として今年も開催いたします。夏の日、人々が港に集まり、思い出を共有し、そして港から始まった神戸のまちにより愛着を持つような場として、みなとまつりを創りあげます。また、第20回という節目を見据えながら、関係団体とともに今後のみなとまつりの在り方を検討していきます。

災害に強いまち神戸へと進化する

 昨年も日本全国で様々な災害がおこりました。地震、水害、台風、噴火、日本のどこにいても絶対に災害のおこらないところはないでしょう。神戸のまちも豪雨や台風によって大きな被害に遭いました。
 近年よく耳にする言葉に「正常性バイアス」という言葉があります。自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい、過小評価して逃げ遅れの原因となることです。人は自分だけは大丈夫だと思ってしまいます。しかし、それをよしとしていては次の被害を防ぐことはできません。人々の意識を変革して、いざという時に人が当事者意識を持って行動できるようにする手法を模索します。
 また、防災・減災のためには日ごろからの備えが必要不可欠です。防災用品・ハザードマップ・緊急避難場所など日常から準備・確認できるものは多くあります。阪神淡路大震災を経験した私たちが、責任世代として備えの大切さを改めて啓発し続ける必要があります。
 行政・関係機関とも情報を共有し、人々の意識を変革して、災害がおこっても被害を最小限に食い止めることのできる、誰一人として逃げ遅れる者がいない、災害に強いまち神戸を目指します。

組織力向上のために

 40歳で卒業となる青年会議所は、組織の存続のために毎年、拡大活動が必須となります。新たなメンバーが加わることで新たな発想が生まれ、新しい観点から事業をおこなうことができます。全てのメンバーが、毎日が拡大の機会であるという意識を持ち、能動的に新しい会員候補を探し出すような意識改革をおこない、確実に会員拡大を進め、組織の力を強めます。
 また、組織の成長のためにはそれに属するメンバーの成長が必須です。青年会議所には月に一回、例会というメンバーが集い学ぶ場があります。毎月の担当委員会が情熱を注いで開催することで、各メンバーが能動的に参加し、多くの学びを得られる機会とします。
 加えて、青年会議所には様々なトレーニングの仕組みがあります。それをうまく利用して一人ひとりが意識的に成長し、それぞれの課題を解決できる人材となることで組織の底力をつけていきます。そして、メンバー全員が研修で得たスキルや経験を会社・地域へフ ィードバックすることによって地域経済の発展にも繋げていきます。

時代に即した組織へと変化する

 青年会議所のすべての事業は、会議を重ねたうえで、理事会の承認を経ておこなわれます。事業を成功へと導くためには、組織としての意思決定をより迅速にし、メンバーの総意を正確に反映することのできる会議が必要です。会議資料が紙ベースから電子資料に変わってきたように、時代に即した、よりスムーズな会議にすべく、試行錯誤しながらよりよい運営を目指します。
 神戸JCの運動を真に市民のための運動にするためには、その大きな方針を広く発信する必要があります。しかし、広報発信の手法も時代の流れで近年、劇的に変化しています。時代に即した発信をしなければどのような運動をしても誰にも共感を得られない活動となってしまいます。私たちの運動を知っていただくことが、市民から真に求められ、親しまれる組織となるために必要です。そのためにも今年度はマスメディアやSNSなどあらゆる可能性を探りながら最適な広報手段を模索し、コンプライアンスに留意しながら、青年会議所運動を最大限に発信していきます。

最後に

 私たち一人ひとりは弱い存在かもしれません。しかし、私たちには仲間がいて、そして先人がいます。私たちの現在は、過去の誰かが進んできた道の積み重ねでできています。先人の通ってきた轍の先に私たちはいるのです。
 神戸JCの歴史も61年前の先輩方の第一歩から始まりました。青年会議所は単年度制のため一年で組織が変わることから、不連続の連続だと言われます。毎年、事業をして、それを検証して、次年度に引き継いでいきます。その過程では失敗しても、それはただの失敗では終わりません。必ず次の成功のための糧になります。この前進を止めてはいけません。

He who moves not forward, goes backward.
前進をしない人は、後退をしているのだ。
– Johann Wolfgang von Goethe -(ゲーテ)

 恐れずに前を向きましょう。私たちには60年間、変革という車輪を回して前に進み続けてきた歴史があります。まちに、そして、社会に良き変革を促し続けることが私たちの使命です。私たち自身が前を向き、変化を恐れずに率先して進みましょう。少しずつの小さな変化が積み重なって、いつしか大きな変革へと繋がるのです。

 生まれ変わった一年目の年を、新しい元号を迎える年を、それにふさわしい変革の年としましょう。変革を続けていくことが明るい豊かな社会の実現へ続いていくのです。

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